こんにちは。介助者のえりこです。
今日は大輔さんと杉並区にある公立小学校に行ってきました。
NHK厚生文化事業団さんの依頼で
「交流教室 ~障害のある人と小学生が出会う場所」という活動で、
5年生90人を対象に講演会するためです。

講演会の時には、大輔さんがペラペラ~っとしゃべれるわけではないので
事前に大輔さんが話したいことを文字に起こして、大輔さん、通訳者(原稿の代読)、そして司会という
役割分担をしてお話をします。原稿作りは2カ月ほど前から書き進めて、
NHKスタッフの方や学校の先生とも相談を繰り返して作成しました。

今回、私が関わったのが主に原稿作りです。
大輔さんを中心に、チーム大輔の講演会担当メンバーと相談しながら書き進めました。
書き進める作業は、単純に「あかさたな」で聞き取るのではありません。
45分間話す原稿をすべて「あかさたな」で聞き取っていると、大輔さんも私も疲れてしまいます。
なので、まずは相手(NHKの方や学校の先生)がどんな話を求めているのかを大輔さんと共有します。
そのうえで、大輔さんがどんな話をしたいのか、おおまかな筋書きを聞きます。
今回の場合は「伝えることを大切にしてほしい」ということが、大輔さんから最初に言われた言葉です。
そこから、次はいくつかの質問をして、大輔さんの言いたいことを聞き取ります。
「大輔さんにとって“伝える”というのは「あかさたな」ですか?」
「“伝える”について大輔さんの経験の中から何を話しますか?」
「一方的に話すばかりではなく、生徒にも意見を聞くならどのタイミングですか?」
もしも、この時点で大輔さんの意図する話の方向性が見えないときは、再び「あかさたな」に切り替えて、開かれた質問にします。閉じた質問や私が考える選択肢ばかりにしてしまうと、言いたいことから大きくずれてしまうことがあるからです。
通訳者によって提案する内容や大輔さんと共有している情報量は違いますが、
この作業の流れはみんな同じだと思います。
きっと、はたから見たら途方もなく時間のかかる作業に思えるのでしょうが、
「えーーそんなのわかんない!」とか「おおっ!さすがダイスケテンバタ!」「それめっちゃナイスですね!」とか、
あーだこーだ言いながら文章を作っていくのは、苦しいけれど面白い作業でもあります。
相手の言いたいことを引き出すという意味では、通訳よりインタビューに近いのかなぁと最近は思います。
(他の通訳さんはどう感じているのかな。今度きいてみよっと)
こうして少しずつ書き進めた原稿に、チーム大輔のAさんがKeyNoteでスライドを作ってくれて
さらにNHKの人が作ってくれた映像を加えて、45分の講演内容が完成しました。ふぅー、やっとできたぜ!


5年生のみなさんは、最初は緊張していた様子だったけれど
一生懸命話を聞いて、見て、そして笑って、質問も投げかけてくれました。
最後に大輔さんが出した宿題は
「声以外のコミュニケーション方法を考えてくること」でした。事前の打ち合わせ通り、私から「たとえば何があるか、天畠さん教えてください」と投げかけると、「・・・・のろし」と答えました。
のろし・・・?
(・ω・)えっ
(・ω・)(・ω・)(・ω・)(・ω・)女子生徒ポカーーン
事前の打ち合わせでは「手話」とかだったんですけどねぇ・・・大輔さん。のろしって・・。ニヤッとするなし。
察しのいい男子生徒が「戦争とかで使うやつだ!」「忍者がつかうよ!」と言ってくれて、救われました。
本人がしゃべらない講演会。
準備には工夫が必要ですが、子供たちの素直な反応や、予期しない質問をもらえるのは
関わらせてもらっていてとても面白いし、やりがいのあるお仕事をさせてもらっているなぁと思います。
次の講演は来週です。2回目の講演ではどんな反応が返ってくるのか楽しみです。
(えりこ)
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